Agility Robotics Digitとは

Agility Robotics Digit(アジリティ・デジット)は、米国オレゴン州コーバリス本社のAgility Robotics社が開発する物流倉庫向けヒューマノイドロボットです。2015年から開発が始まり、2024年10月にAmazonの物流施設での商用稼働を開始した「商用化に最も成功したヒューマノイドの1つ」として注目されています。

Digit詳細スペック

項目仕様
身長175 cm
重量65 kg
搬送可能重量16 kg(Tote搬送)
稼働時間約16時間(バッテリー交換式)
主用途倉庫内Tote搬送・在庫補充
実稼働実績Amazon、Spanx、GXO Logistics
提供形態RaaS(Robotics as a Service)月額契約

RaaSモデル|「販売」ではなく「サブスク契約」

Agility RoboticsはDigitを「販売」ではなく「RaaS(Robotics as a Service)」として提供しています。これは月額固定料金で機体・運用サポート・継続アップデート・故障時代替機をパッケージ化したサービスモデルで、従来のレンタルとは契約条件が異なります。月額料金は推定$5,000-$8,000/月。

項目RaaS従来レンタル
契約形態月額サブスク(年間契約)期間限定レンタル
運用サポート標準装備オプション
アップデート常時最新契約時点のバージョン
故障時対応代替機提供業者次第
契約期間1年以上推奨1日〜数年

Amazon実証事例

Amazonは2024年10月から自社物流施設でDigitの商用稼働を開始。GXO Logistics(物流大手)でも同年から運用を開始しています。公開情報からDigitが以下のタスクを実施していることが分かります。

  • Tote搬送:倉庫内の保管棚から仕分けエリアへの容器搬送
  • 空容器の回収・スタッキング:使用済みToteの回収と所定位置への積み戻し
  • 夜間・休日のバックアップ稼働:人手が少ない時間帯での補助稼働

これらは「ヒューマノイドが既存倉庫インフラ(人間用の通路・棚)でそのまま稼働できる」点を活かした活用例です。

AMR・AGVとの違い

従来のAMR(Autonomous Mobile Robot)/AGV(Automated Guided Vehicle)と比較したDigitの最大の利点は「既存倉庫インフラのまま稼働できる」点です。AMR/AGVは専用走行レーン・専用棚を必要とすることが多いが、Digitは「人間用の通路・棚をそのまま使える」点が大きな違い。既存倉庫の改修コストを最小化できます。

日本国内物流倉庫での適用可能性

日本国内の物流倉庫業界(年商規模10兆円超)でのDigit活用可能性は高いと推定されますが、2026年5月時点で正規参入していないため、以下の選択肢が現実的です。

  1. 米国子会社経由のPoC:大手商社・物流企業の米国法人を経由したPoC契約。日本国内倉庫への試験導入。
  2. Agility Robotics社への直接相談:日本市場参入の意向確認、初期パイロットパートナーとしての打診。
  3. 代替機種でのPoC:Unitree H1/H2、または国内のAMR(オートストア・キヴァ系)での先行PoC。

2024年問題への対応策

日本の物流業界は2024年問題(労働時間規制)以降の人手不足が深刻で、Digitのようなヒューマノイドが「人間用倉庫インフラのまま稼働できる」点が高く評価される可能性があります。ドライバー労働時間規制(年間960時間上限)の影響で、配送量に対する人員確保が困難になりつつあり、自動化ニーズが急速に拡大。Digitの2027-2028年の日本参入時には、既存倉庫の即時導入需要が大きいと予想されます。